家は生きている
2020年9月22日
秋分の日を迎え、だいぶ過ごしやすい気候となりました。
この時期は、夕暮れ時になると風は涼しいのに太陽の光は温かみが残っていて、昼間の名残を惜しむような雰囲気が漂うと周りの景色が絵画のように見えてくるので、個人的にはとても好きです。
さて、私がお客様と家づくりをする際には、「家は生きものです」というフレーズをよく使います。
これには大きく3つの意味が含まれています。
1つは、むさしのおうちは木造住宅が主流なので、樹木から切り出された資材が加工された後も吸湿と乾燥により膨張と収縮を繰り返すという物理的な「生きもの」という意味があります。
もう1つは、住まい手であるお客様が住み続けるうちに年齢が上がったり、家族構成が変化したりすることで、住宅に対する間取りや仕様などのニーズが変わっていくという変化を生きものに例えて呼んでいるという意味です。
つくる時は、ある程度先を見据えてプランニングするのですが、予想通りにいかないというのは何事においても珍しくないと思います。けれど、一度つくってしまったものを変えるのは容易なことではありません。すると今度は使い方を変えて対応するというのが、自然な流れになると思います。この使い方の変化が、プランニング当初の予想を大きく裏切ってくることがあって、時々OB施主様のお宅などを伺うと大変興味深く感じることがあります。つまり3つ目は、家の使われ方の変化も「生きもの」のようだなぁと思うところからきています。
「家は3回つくらないと成功しない」と言われたりするのは、そういった面もあるのかもしれません。
家づくりって本当に奥が深いです。
でも、だからこそやりがいがある仕事だなぁと思います。